釧路簡易裁判所 昭和47年(ろ)24号 判決 1973年8月10日
主文
被告人を罰金参万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金千円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、法定の除外事由がないのに、
第一 昭和四六年五月二日、三日、四日、一五日、一六日の前後五回にわたり、環境庁長官が阿寒国立公園の特別地域として指定した川上郡弟子屈町摩周第一展望所において、焼いか、焼とうきびなどの食品を販売するため、長さ約二・五メートル、幅約一・二メートル、高さ約一・九メートルのリヤカー附屋台を固定して設置し、同所をほしいままに占拠していることにつき、同地域を管轄する北海道釧路支庁の職員菊地鉱等から前後八回にわたり、口頭または書面をもつて「右行為は物品販売等を目的とする特別地域への立入り禁止および展望所等の占拠の禁止に違反するので、直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示をうけていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年五月二三日午前一〇時ころから午後零時五分ころまで、前同所特別地域内の展望所に、前記屋台をみだりに設置して、右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第二 同年五月三〇日、三一日、六月一日、同五日の前後四回にわたり、前同様前記場所に、前記屋台を設置して、前記食品の販売を行ない同地域を管轄する北海道釧路支庁の職員菊地鉱等から前後六回にわたり、前同様口頭または書面により「直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示を受けていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年六月九日午前九時三〇分ころから午後二時ころまで前同所特別地域内の展望所に前記屋台をみだりに設置して、右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第三 同年六月一五日前同様、前記場所に前記屋台を設置して、前記食品の販売を行ない、北海道釧路支庁の職員日比野元彦から前同様口頭および書面により「直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示を受けていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年六月二二日午前九時二〇分ころから午前九時五〇分ころまで、前同所特別地域内の展望所に、前記屋台をみだりに設置して、右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第四 同年七月一日および同七日の二回にわたり、前同様、前記場所に前記屋台を設置して、前記食品の販売を行ない、北海道釧路支庁の職員日比野元彦ほか一名から、前後二回にわたり前同様口頭および書面により「直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示を受けていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年七月二二日午前九時三〇分ころから午前一〇時三〇分ころまで、前同所特別地域内の展望所に、前記屋台をみだりに設置して、右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第五 同年八月三日および九日の二回にわたり、前同様前記場所に、前記屋台を設置して前記食品の販売を行ない、北海道釧路支庁の職員菊地鉱ほか一名から前後二回にわたり、前同様口頭および書面により「直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示を受けていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年九月三日午前九時三〇分ころから午後二時五分ころまで、前同所特別地域内の展望所に、前記屋台をみだりに設置して右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第六 同年六月二四日および二五日の二回にわたり、前記阿寒国立公園の特別地域である摩周第一展望所において、焼とうきびなどの食品を販売するため、りんご箱などの木箱を台にした長さ約一・二七メートル、幅約〇・三メートル、高さ約〇・六メートルの焼台を設置し、同所をほしいままに占拠していることにつき、同地域を管轄する北海道釧路支庁の職員日比野元彦ほか一名から前後二回にわたり「右行為は、物品販売等を目的とする特別地域への立入り禁止および展望所等の占拠の禁止に違反するので、直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入りあるいは占拠を続けないこと」との要旨の指示を受けていたのにかかわらず、これに従わず、更に同年六月二九日午前九時ころから午前九時四二分ころまで、前同所特別地域内の展望所に、前記焼台をみだりに設置して、右食品販売の営業を行ない、もつて同所をほしいままに占拠していた、
第七 昭和四七年五月四日午後一時三〇分及び七月一八日午後零時三〇分の二回に亘り環境庁長官が阿寒国立公園の区域中、特別地域として指定した川上郡弟子屈町摩周事業区第二七区劃班内の摩周第一展望所において焼いか、焼とうきびなどの食品を販売するため、長さ約一・六メートル、幅約一・二メートル、高さ約一・八メートルのリヤカー附屋台及び長さ約九〇センチメートル幅約五〇センチメートル、高さ約八〇センチメートルの木製台を定置し、同所をほしいままに占拠していることにつき同地域を管轄する北海道釧路支庁の職員日比野元彦、蔵野允彦等から口頭又は書面をもつて「右行為は物品販売等を目的とする特別地域への立入禁止及び展望所等の占拠の禁止に違反するので直ちに営業をやめ立ち退くこと、不法立入或いは占拠を続けないこと」等の要旨の指示をうけていたのに拘らずこれに従わず法定の除外事由がないのに小野ひとみと共謀の上、
(一) 昭和四七年五月四日午後一時三〇分ころから同日午後四時ころまで前同所特別地域内第一展望所に前記屋台をみだりに定置して右食品販売営業を行い、
(二) 同年七月一八日午後零時三〇分ころから同日午後四時ころまで前記同所特別地域内第一展望所に前記屋台をみだりに定置して右食品販売営業を行い
もつて、同所をほしいままに占拠していた
ものである。
(証拠の標目)省略
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、いずれも刑法六〇条(但し判示第七の(一)(二)のみ適用)自然公園法二四条一項二号、同条二項、五二条五号、昭和一三年五月一三日厚生省告示六八号、罰金等臨時措置法二条(被告人の判示第一ないし第六、第七(一)の各行為につき、その下限については行為時は昭和四七年法律六一号による改正前の罰金等臨時措置法二条に、裁判時による改正後の罰金等臨時措置法二条に各該当するが、これは犯罪後の法律により刑の変更があつたときにあたるので、刑法六条、一〇条により軽い行為時法による。)にあたるところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内において被告人を罰金参万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により千円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文を適用して全部これを被告人に負担させることとする。
よつて、主文のとおり判決する。